その34 2005年9月6日 |
映画「さゆり」の録音が終わった。 いままでの生きてきた中で、たぶん?一番緊張した4日間だったかもしれないです。 間違いなくそうだろうと思う。 作曲は映画音楽の巨匠といわれるジョン ウイリアム氏(代表作はET、ジュラシック パーク、スターウォーズ等)、ゲストとしてバイオリンソロにイザック パールマン氏、 チェロソロにヨーヨーマ氏。次に琴の石榑雅代です。まじ笑えます。 こんなの絶対にありえな〜〜い。はぁはぁあ〜〜!笑いすぎてァー腹が痛い。 左 ジョン氏と 右 駐車場もお隣でした
録音当日の予定が書き込んである紙が全員に渡されているのですが、そこに自分の名 前が載っている事だけでこっぱずかしく.....。なんだか居場所がないソワソワした感じ。 こんな風に思うところが日本人なのかもしれない。 これがもしアメリカ人だったら、自分が選ばれ此処にいて当然で、わざわざ来てやっ ているくらいに思う人もいるかも知れない。(あくまでも一般的な見解ですけど) 6月始めにこのお話しを頂き、その後作曲家から楽譜が届き先週の録音が終わるまで、 寝ても起きても、意味もなく緊張のしっぱなしでした。 実はそんなに琴の出番はなかったとはいえ、緊張の理由はまずフルオーケストラと一 緒だということ、適当に振っているとしか思えないダンス的な指揮についていけるの だろうかとか。聞けば練習なしで、そのまま録音に入るのが常識らしい.....。 みんなプロなんだから、そんなの当然と言われてしまった。 邦楽の世界って、沢山合奏の練習するじゃないですか〜〜!それに慣れている私は、 もう不安材料が増え、腰が引ける。心配してもしゃ〜ない事ばっかりなのに...。 が、終わってみてよくわかったけど、一番きつかったのは、休みが多すぎて小節を数 えるのに必死だったことかも。もう手も足も使って数えました。 ず〜〜っと休みでいきなり弾くところがあるのは実にきつい。 で、まばたきしている間にあらら.....迷子。 といって、弾くところがめっちゃ沢山あったらそれはそれでまた緊張でしょうけど。 左 録音会場 右 当然休憩時間もひとりで練習....
関係者の方から、映画音楽の録音は途中で色々と変更があるので、そのつど指示を受 けるようにといわれていました。 五線譜から糸譜に直す作業がある為事前に楽譜を貰っていたのですが、その後いつの 間にか編成が大幅に変わったようで、結局貰っていた楽譜の3分の1になっていました。 半分ホットしたような、ちょっと残念......複雑な気持ち。 いままでにフルオーケストラとの共演は数年前に1度経験があるだけで、お恥ずかし いのですが ”未知の世界” おまけに目の前にはあのヨーヨーさんとパールマンさんが座っているし、もう頭の中 はパニック!! ヨーヨーさんは噂通りとても気さくで、後ろで岩のように固まっている私に何度も笑 いながら話し掛けてくださり、それは天に舞上るくらい嬉しかったのだが、これまた 緊張しちゃってお返事の声が出ない。柄にもなく蚊の鳴くような声しか...。 た.ぶ.ん50才くらいだとお聞きしたが、子供の様に明るく、一人で冗談を飛ばしてい らっしゃる。後ろを振り返ってみんなにニコニコ笑顔を振りまいて、あの〜〜もう演 奏始まってますけど...みたいな時でも、自分の出番がくるといきなり人が変わった ように、すんばらしい音を奏でて。 息をするのも忘れるくらい、もしかして穴があいてしまうのではないかと思うくらい、 斜め後ろからじ〜〜〜〜っと演奏を拝見しました。 見に来ていた子供に、チェロの弾き方を教えるヨーヨーマ氏 手を延ばせば肩に手が届く程の場所から演奏を聴かせていただきながら、ヨーヨーさ んはハーバードでは何をお勉強していらっしゃたのかな?なんてつい余計な事を考え たり。 まさに私は誰、ここはどこ? この言葉ってこういう時に使うと思う。 とにかく世は満足でございます。 ただ一つだけ残念に思ったことがあります。 日本国内だけではなく、この所アメリカでも津軽三味線がちょっとしたブームだとい う事は、みなさんも良くご存知ですよね。 ニューヨークと言う場所は、人種の数と同じだけそれぞれの国の文化も一緒に存在し てます。 その中で日本の音楽が(例えばそれは琴であったり尺八、津軽三味線であったりしま すが)実際のところ、一体どれだけの人に認識されているのだろうかと...。 私は東海岸を中心に良く演奏の機会を頂くのですが、その中で残念ながら琴や三味線 を知っている人は、いまでもほんの一握り。(だと思う) 勿論以前に比べて楽器の知名度が上げっていることは確かですが、それは昔と比べた ら単にベターというだけの話し。 私的には楽器を紹介をできる嬉しさはありますが、それと同時に正直なところ「これ では、まだまだダメだ〜〜!」という気持ちの両方です。自分的にはかなり複雑なん です。 今回も作曲者であるジョン氏も、琴という楽器は知っていても実際見たことがなかっ たので、果たしてどんなテクニックが可能で、どんな音が作れるのかとかなり苦心さ れたご様子。 同じアメリカ国内とはいえ、飛行機で6時間もかかる西海岸と東海岸では、曲につい て何度も頻繁に直接会って打ち合わせをすることも不可能。 それに琴のパートだけを考えているわけではないし。 そうですね、10年後のニューヨーク、道でも地下鉄でも誰からも「あら、これって日 本の楽器よね?」と言ってもらえたらと思う。 そうしたら、ここで行われれいる各種日本楽器の演奏会に足を運んでくださる人も更 に増えるでしょうし。 先日マンハッタンのダウンタウンで、10年ぶりに”日本のお祭りが”復活し開催され ました。 通りには着物やさんや、レストランのお寿司屋さん、日本の雑貨類、陶器など色々 なお店がでます。 闘魂のはちまきで気合い?1日中熱心に三味線を教えた生徒のピーター君 数年前のテロ事件から大きなイベントが控えられていたので、みんながこのお祭りを 心待ちにしていたと思います。 今回来ている人を見て感じたのは、国際結婚のご夫婦、ハーフのお子さんが増えてき たみたいです。 最近よく国際結婚の方から、お式での琴の演奏を頼まれるんですよね。 左 子供も難しい三味線にトライ 右 日本人のあんちゃんー少し弾けるようになったとご機嫌 お祭りでは舞台での演奏ではなく、ブースでお客さんに琴と三味線の体験演奏をして 貰いました。 実はブースを持つこと自体始めての経験で、始めは誰も来なかったら主人にさくらに なってもらおうとか色々考えていたのですが、まあ〜大勢の人が来てくれました。 特に小さなお子さんが弾く”きらきら星”が大好評。 舞台の上からだけではなく、演奏者が楽器と一緒に下に降りて、琴や三味線に興味の ある 人と会話をし、日本音楽ファンを増やしていくのが、現地に住んでいる私達の役割だ と思っています。 自分&日本音楽が置かれている状況をしっかり把握しながら、活動を続けられるのは、 地道ではあるけど、それはそれで良いことなのかなってね。 もち、それは口で言うほど簡単じゃないけど、とにかくがんばりたいです! 逆に良いところしか見えてないのは、ちょっと怖いかも?とちょっと思う。 左 いまキラキラ星弾いてま〜す 右 男性も初めて挑戦 今回の映画の音楽に参加できた事が自分にとって最高&最後と思わず(実はそう思っ ているところが情けないなぁ)次のチャンスに向かって、更にさらにがんばっていく 気持ちで溢れています。 主人が毎朝聞く。”まさよさん、今後の目標は??” ああ〜残念なことだが、一晩寝ると忘れちゃうかも(笑) |
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