エッセイその4 | その5 | その6 | その7 |
実は、非常に軽い気持ちで書き始めたNY邦楽情報なのですが、書いているうちにだんだんあれも書きたい、これも入れてみようっ!!といった具合で、当初邦楽らんどさんから依頼された内容からは思いっきり外れてしまったまま、未だ書き続けている訳でして。図々しい事は重々承知ですが、今暫く続けて書かせて頂きたいと思っています。 ごめんなさいね、邦楽らんど様! 邦楽に関係すること+NYについても御紹介できたらと思います。 海の向こうでも細々とお琴を弾いている人間がいることも。 興味のある方は引き続き見てくださいね! お願い致します。 さて、皆さんは2000年をどのように迎えられましたか? こちら時間の大晦日の夜、日本の家族から電話があり、「NYのタイムズスクエアーがNEWSで紹介されているけれど、おねーちゃんも行って来た?」とミーハー丸だしの電話がありまして.....。 きっと日本のTV SHOWではあの興奮しきったタイムズスクエアーの様子が放送されたのでしょう。大晦日は気温もさほど低くなく、何時間でも外でミレニアムを迎える事ができた状況だったことは確かですが、少なくともあのTVカメラの中に収まる程中心部に近づくには(たとえ米粒程度でも)きっと午後の3時、4時位からあの場所にいすわりトイレにも行かない(行けない?)覚悟で臨むのが大晦日、世の常らしいです。残念ながら異常にトイレが近い私には、そこまでの根気といいましょうか、根性は生憎持ち合わせておらず、今までに一度も現場まで足を延ばした事はありません。 妹いわく ”もったいな〜〜い” ですって。 あのね 、寒いのよ!! 聞くところによりますと、あの場所にいる半分以上が観光客の方らしく、今回はこちらのNEWSのインタビューになんと日本からのカップルが一組混じっていました。ちゃんとがんばって英語で質問に答えていましたね。 とはいえ、もちろん私も行ってみたい気がない訳ではないのですが、いつも行けない? 行きたくない理由がちゃんとあるのです。31日には年越しコンサートがあり、おまけに元旦早朝、早いも早い、午前4時45分集合のお仕事がある為、何となく気ぜわしく準備に追われ、出かけるチャンスを逃しています。今年は噂だけでよかったのですが「タイムズスクエアーでテロがあるかも..」等と騒がれた事もあって、私のアパートの人で本当にマンハッタンから避難した人もいるんですよ。テロは本当に恐い。 朝一番のお仕事というのは、皆さんもよく御存知NYの名物建物でもありますエンパイヤーステイトビルディングの80階から初日の出を見るツアーが、1998年からJTBの主催で行われており( 興味のある方は来年是非どうぞ)、お琴のBGMでお客さんをお迎えするという大役をおおせつかっています。今年の参加者は約200名。そのうちY2K問題で、遠出を控え静かにNYで2000年を迎えられるアメリカにお住まいの方々が約半分の100名、残り100名は日本からの御参加でした。 毛氈の上にお淑やかに(ちょっと違う?)いすに座ったお姉さんを見て、”わざわざ日本からこのために来たのですか?”とか”ちょうどここに来ていたスチワーデスさんですか?” まさかNYにお琴を弾く人間がいるということなど、お客さんの頭には全くなかったようです。でも、ほんの一部のアメリカ在住の方、「あなたの事新聞で見て知っていますよ」なんていって下さりうれしい私。司会の方が、こちらを中心に活動している演奏者だと紹介してくれて、皆さん「へエ〜〜〜〜驚き!!」ですって。海外での邦楽の現状をもっと知ってもらわなけれければ......私の方が「なんでエエ〜なんで知らないのですか?」っと聞きたい位です。今や世界中どこにでもお琴弾きはいますよね? でも実は私、このエンパイヤーステイトビルディングのエレベーターがちゃんと動くかどうかが、一番心配だったわけで。参加するお客さん以上に何度もJTBに電話をして、「エレベーターちゃんと動きますか?テストしてみましたか?」聞いた回数5回以上。 ちょっと、ムッとされた事も事実でして。 というのは、このエンパイヤーステイトビルディングの演奏の後には、JFK AIR PORTのANA全日空の出発ロビーでの演奏も毎年有り、すぐに移動しなければならないので、エレベーターに閉じこめられてはいけない!!という焦りがあって。 さすがに飛行機も、Y2K問題が関係し出発のお客様も少な目ではありましたが、それが高じて、ゆっくり演奏を聴いていただける結果となりました。搭乗時間前には楽器の前に張り付いて、まじまじと楽譜をのぞき込んだり、日本人かな〜?とか、日本の歌を一緒に口ずさむ人有り、私はこの曲より1曲前の方が好きだわーとか、色々な意見&感想が沢山聞こえてきて、演奏者には観客の声を生で直接聞ける良いチャンスになりました。場所、お客さんのタイプ、雰囲気などによって、プログラムを考えるように努めていますが、この課題はなかなか大変です。 しかし、やはり古い曲と新しい曲を同時に紹介して行くことは、非常に大切な事ではないかと思います。NYには沢山の有名な美術館がありますが、ある時日本からの友人(琴演奏家)と美術館巡りをしたときに感じたことです。メトロポリタン美術館には古いものばかりが飾られています。その反対にモダンミュージーアムには超近代的な、ちょっと理解に苦しむやもしれぬ作品ばかりが展示されています。お恥ずかしいのですが私は全く”絵”関してはちんぷんかんぷんですが、それらを漠然と見てみていて思いました。新しいものばかり見ていても、おもしろくない。古い物ばかり見ていてもつらい。やっぱり両方見てみてこそ、それぞれの良いところがわかるんですね。本当にお恥ずかしいのですが、このとき初めて身をもってこの様に感じたのです。いつも人に音楽を与える立場で、与えられるという立場に立った事があまりなかったせいかもしれません。 これからも常に聴く立場と聴かせる立場の両方を考えて、 より良い演奏活動が出来たらと思います。 それにしてもアメリカのお正月はあまりにもあっけなく、日本人にはちょっとばかり寂しいかな〜。 その代わりクリスマスが豪華だから仕方ないか.... でもーちぇ!! 2000年が皆さんにとって、良い年でありますように。 |